このままずっと(※R15)

官能作品

 

『このままずっと』

 

それは憎しみにも似た感情だった。

彼女が俺を置いて行ってしまうことが
心の奥底では許せなくて、悔しかった。

だから……
俺なしでは生きていけない身体にしてやりたい。
そう、思った。

彼女の白く美しい裸体を上から眺める。
彼女を激しく犯したい気持ちと
彼女をどこまでも愛したい気持ちが混ざり合い
制御できないほど気持ちが乱れた。

俺は、舌と手を使い
余すことなく彼女の全てを愛撫した。
彼女は何度も、何度も達した。
その度に漏らす苦しみを含んだ喘ぎ声は
俺の精神をぐちゃぐちゃにかき回した。

プツンと理性の糸が切れた音がした。

いつもはゆっくり挿入するそれを
勢い良く彼女の中に入れた。
なんの引っ掛かりもなくヌルッと奥まで届き
身体中が感じた事のない快感で痺れた。
悲しみとも苦しみとも悦びとも言えない。
ただ帰るべき場所に帰ってきたような
自分の存在がこれでいいのだと許されたような
快楽の先にある、優しくて温かい……
安心という感覚に近かった。

ああ、俺の方がもう……
彼女無しだと生きていけない身体になってしまったのか。
そう、確信した。

彼女は悲鳴に近い声を上げた。
と同時に、背中に強い痛みを感じた。
彼女は爪を立て、俺の背中にしがみついていた。

俺は、彼女の理性が戻らないように
強く激しく、何度も何度も身体を動かした。

「もう……だめ……!壊れちゃう……!!」
「……壊れてよ」
「……」
「壊れてくれよ。俺と一緒に……」

愛憎が溢れる。
一瞬彼女を殺したくなった。
目の奥から熱いものが溢れ出し
思わず彼女に覆いかぶさった。

息を荒げながら、自分の体が小さく震えてることに気付いた。
彼女は、震える俺を何も言わずにぎゅっと抱き締めた。
その瞬間、彼女と愛し合った記憶が勢い良く流れ込んできた。

彼女の笑った顔が好きだ
彼女のバカみたいに素直なところが好きだ

彼女の独特な間合いのある話し方が好きだ
彼女の不器用な愛情表現が好きだ
彼女のキスをするときのトロンとした目が好きだ
彼女の俺にしか見せない乱れる姿が好きだ
彼女が俺を呼ぶ少し高めの優しい声が好きだ

ずっと彼女が好きだった。

恋人になる前からずっと。

「……愛してる」
今もこれからも
「愛してる、愛してる……」
ずっと、いつまでも……
「私も、愛してる……」

次から次へと溢れる涙を止めようともせず
ただひたすらに抱き合った。
彼女は俺の頭を抱え込み
切れ切れに俺の名前を繰り返し呼んだ。
まるで何かに深く懺悔しているかのような
苦しくて哀しみを纏った声。

彼女と1つになりたいと初めて心から願った。
1つになりたい。このままずっと……


ブログ限定公開の前作「唇から伝わる優しい熱」の続編。今回は男性側の視点で描きました。

文字打ち込みながら魂削られる想いでした。どこか息苦しく、でも脳内ボルテージが急激に上がっていき快楽にも似たような高揚感も感じました(なんだそれはって感じですが笑)

今回のテーマは別れの直前SEXなので、普段の SEXと明らかに違う、『愛憎が溢れ理性が飛んだ究極のSEX』を書きました。
なので男性の中で、普段感じることのないであろうドロドロした過激な思考が巡るという、ちょっぴり目を背けたくなるような生々しい表現になったように思います。

ちょっと時間を置いた2部作でしたが、最後までしっかり読んで頂きありがとうございました❣️

そして最後に。
遠距離カップルさん、いつも応援してます☺️✨✨

 

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