唇から伝わる優しい熱
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『唇から伝わる優しい熱』
幾度となく重ねた身体。
幾度となく感じた快楽。
幾度となく達したオーガズム。
でも今日はいつもと違う。
私達にとって、もしかしたら
最後のSEXになるかもしれないから。
明日私は海の遥か向こうへ行く。
いつこの場所に帰ってこれるのか予測もつかない。
夢を諦めきれなかった。
大好きな彼との未来より
自分自身の人生を
私は私の意思で選んでしまった。
彼は慣れた手つきで私の服を脱がせた後
キスをしながらブラジャーのホックを外し、
ショーツのみとなった私を上から下まで眺めた。
彼の私を見る表情は今にも泣きそうで
とても見てられなくて思わず目を閉じた。
彼は、おでこから順に舌を這わせていった。
両手で乳房を揉みほぐしながら
舌はその先端を優しく舐め回す。
愛おしそうに、時折激しく、
そして、いつもより長く。
心地よい粘度のあるその舌先の熱を感じる度に
私の身体はピクリと動いた。
息が漏れる。意図せずやらしい声が出る。
恥ずかしいとは思わない。
だけど何故か罪悪感がじわじわと溢れ出す。
彼は、たまにチュッという音を立てながら
その舌先を下の方へ持っていく。
〝ここは最後に‘’
と言わんばかりに、秘部を通り越して
内腿に優しく細かいキスを繰り返す。
時々唇が触れた場所に痛みを伴い、
彼が噛んだり吸ったりしているのだと分かった。
泣きたくなるほどに身体中が感じていた。
こんな時でも私は快楽に溺れてる。
この先どれだけ続くか分からない悲しみより
今この瞬間の快感に、身が悶える。脳が痺れる。
細胞が絶頂に向かって、意思とは裏腹に走り出す。
「あ……もう、だめ……」
「まだ…まだ足りない」
「や……もう、我慢できない……」
「我慢しないで。全部見せて。全部、さらけ出して。全部俺に……」
弱々しく声が消え入る。
言葉の代わりに彼はひたすら愛撫を続けた。
涙で視界がぼやける。
彼の唇から伝わる熱は愛と優しさに溢れていて、
それがとてつもなく嬉しくて、悲しかった。
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今回は悲しみに溢れた愛撫がテーマの官能イラストとなりました。
男性の愛のある愛撫は女性を芯から幸せな気持ちにさせます。でも時にそれは執着という名の檻に自分自身を閉じ込めます。
「これまでにないくらいエッチで切ない作品が見たい」という声にお応えして、一年前に書いた官能作品を今回大幅にリニューアルしました!(絵はそのままです)☺️💕
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