『蒼き恋の旅路』最終話 光明

官能作品

『蒼き恋の旅路』 最終話 光明

 

失う怖さを知った者だけが、行き着く場所がある。

強く後悔した者だけが、感じる想いがある。

 

 

「んっ……んっ……」

 

彼女が小さく呻きながら顔を上下させる。視界には膝立ちになった彼女の頭部とせり上がった自分のもの。彼女はゆっくり丁寧に、苦しい位熱を持ったその場所を舐め上げる。ゾクゾクと身体が震える。今度はそれを咥え込み、じっくり吸い上げていく。ジュルルッという唾液の音が何度も響き、それが更に興奮を高める。全身が幸せな快感に包まれる。ああ、これ以上はもう……

 

「美久っ……もう、大丈夫」

「んっ……まら……」

 

彼女の動かすスピードが早まる。ああ、ダメだ……心拍数が高まっていく。意志の力では止めることのできない生理現象。それは、結局男はどうしたって女には敵わないのだということを嫌でも感じさせる。喉の奥から小さい呻き声が漏れたと同時に、俺は彼女の熱い口内に勢いよく射精した。暫くビクンと痙攣している間も、彼女は口の中でそれを受け止め続ける。彼女が俺が吐き出したものを飲み込んだ瞬間、強い悦びと一緒に複雑な胸の痛みを感じた。

 

「ご、ごめん……」

「ううん、いいの。お返しだよ、いつも気持ち良くしてくれるから」

 

いじらしい。俺にはもったいないくらい、強くて、優しくて、美しい彼女。

彼女は出会った頃、まだまだ子供だった。自分によくなついてくれる、可愛い妹みたいな感覚だった。卒業後再会した時もその想いは消えてなかったけど、社会的罪悪感を感じながらも彼女の真っ直ぐな気持ちに心を打たれ、男女の仲になった。そして……自分の未熟さゆえに一度手放してしまった蛹は、数年の時を経て、美しい蝶へと変わっていた。

 

 

彼女とキスを繰り返しているうちに、下半身が復活してくる。ここ数年、一度元気がなくなると短時間では元通りになれなかったコイツも、彼女を前にするとすぐに若い頃の元気さを取り戻せるようだ。調子いいヤツめ。

 

俺は彼女を押し倒した。彼女の柔らかな乳房に顔を埋める。若い頃よりも熟して更に美しくなった彼女の裸体に、俺は常に白旗を上げるしかなかった。会えば会うほど好きになる。抱けば抱くほど、自分の知らない過去への嫉妬に狂いそうになる。後悔で自己嫌悪になる。

 

ああ、きみの全てが欲しい。

 

「んああっ……!」

 

一気に彼女を貫く。彼女の内側はキュウッと強く締まった。その刺激だけで、またイキそうになる。堪えて何度も激しく突く。彼女が喘ぐ。必死に抑えようとしながらも漏れ出る甘い声に挑発されて、勢いよく、また果てた。

 

 

「智司、最近なんか、性欲マシーン?」

「もう35歳なんだけどなあ……美久と一緒にいると、どうも制御できなくて……」

「うふふっ、私、そんなに魅力的?」

「や~……もう魅力的というか、そんな言葉じゃ終われないほどの魔力?のようなものが」

「なにそれ~(笑)教師なんだから、もっとちゃんとした言葉で伝えて下さい~!」

 

彼女が俺の胸元に顔を埋めて、ペロリと乳首を舐める。

 

「~~~~……美久、エロ過ぎ。ああっ、くそ!俺が美久をここまで育てたかった!!」

「やっ……もう、何言ってんの!!」

「もう、手離さない……絶対」

「……え?」

 

本当は……ちゃんとした時にと思っていたけど、美久はきっと、そんなこと気にしない。

今しかないと、自分の中で強い意思が宿る。

 

俺が黙って起き上がると、美久も何かを察して起き上がった。

俺たちはベッドの上で向かい合い、彼女は俺が話し始めるのを待つ。俺は、すぐに言葉を発しようとするのに、上手く言葉が出てこない。そのうち、驚くことに目の奥にツンとしたものを感じて、気付けば涙が頬をつたっていた。

 

「わ!智司?ちょっと……どうしたの?」

 

彼女が慌てて箱ティッシュに手を伸ばす。俺はその動きを制して、そのまま彼女の手を握った。彼女は驚いたまま俺を見つめる。

 

「ずっと、美久と再会してからずっと……後悔で、胸が張り裂けそうになるんだ。きみは”過去があったから今がある”って言ってくれて、それは本当にその通りで……でも奇跡的に出会わなければ、今の俺たちはなかった」

「うん……」

「俺はっ……もう二度とこんな想いはしたくない。こんな、ワガママな俺を許してほしい。俺の人生は、もうきみなしじゃ正常運転は不可能なんだよ。きみがいることで、やっと前に進めるんだ」

「……っ」

「美久、もう俺は、きみと離れたくない。この先ずっと、俺の隣にいてほしい」

 

心臓の音が彼女に届いてしまうんじゃないかと思った。沈黙の中、かつてないほどの緊張に襲われる。静寂を、彼女の吸い込む呼吸音が破く。

 

「……智司、私ね。智司にまた出会えたことで、愛がなんなのかを知った。あなたが教えてくれたのよ。私はとっくに決めてた。もう絶対に、智司から離れないって。ずっと……死ぬまで一緒にいたい」

「美久……」

俺たちは、どちらからともなく抱きしめ合った。互いの体温を交えながら強く、つよく。二つの心臓がトクトクと合わさり、やがて1つの音になる。境界線が、溶けていく。

 

「美久……俺の奥さん」

 

 

蒼き恋の旅路は、新たな愛の旅路へと変わる。

 

 

 

End.


 

以上、2年前のタイアップ作品『蒼き恋の旅路』一挙公開しました!!

元教師と生徒の恋愛をここまで掘り下げた作品は初めてだったな。でも実は9月28日発売予定の書籍『私たちは愛なんてものに』にも元教師と生徒の物語が収録されてます。しかも今回と男女逆バージョン!!!!そっちもかなり切なエロくてお勧めなので、是非発売されたら読んで欲しいです(と、流れで宣伝)(笑)

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『蒼き恋の旅路』は8年という年月を描いているので、1話の時の2人と3話以降の2人では、物事に対する考え方も価値観も全てが大きく変わってきてるよね。でもただ一つ、変わらなかったものがあって、それは”誰かを強く愛した記憶”。過去があって今がある。それは決して上書き保存できるものじゃないって思うんだ。もちろん復縁しない未来だったとしても。その記憶は1つの財産、そして糧になって自分の中に残るものだと私は思う。

 

今回1人のファンの方から届いたDMのおかげで、こうして2年も前の作品をブログにて一挙公開する機会を頂けたこと、本当に心から感謝したい気持ちです。昔の作品を何度も読み返してもらえることはもちろん、時間が経ってから新たなファンの方に読んで頂けることは、作品を残すことの意義に繋がります。本当に幸せなことだなと思います。

 

 

Vライントリマー&シナヤカウォッシュ

 

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